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【闘馬】メス馬をめぐるオス馬の戦い!中国・旧正月の馬文化

長い歴史を持ち、日本にも数々の文化的影響が強い中国。

この広大な国には、15種類の馬がいます。

Baise・ Balikun・Heihe・Guoxia・Ferghana・Guizhou・Datong・Jielin・Lijiang・Nangchen・Riwoche・Tibetan・Xilingol・Yili・Yunnan・Hequ

この馬たちは、数世紀にわたって中国に存在していると言われています。馬たちは紀元前1600年にはスポーツ目的で、4世紀頃からは馬に乗り始めたようです。

中国の馬文化を知るため、中国の大切な祝日「旧正月」におけるお祝いをご紹介します。

雄馬の戦い!中国南部伝統「闘馬」

記事内Youtubeより引用

中国南部にある、広西チワン族自治区。

そこに暮らすのはミャオ族と言われる人々です。彼らが500年続けている伝統は”闘馬”。旧正月を始める唯一の方法だったと言われます。

闘馬という名前の通り、馬が戦います。戦う馬は牡馬(オス馬)で、理想の年齢は4歳~8歳。「戦いのための良い馬は、太っていて、たくさんのエネルギーを持っていることが必要だ」とのこと。

会場近くには牝馬(メス馬)が用意されていて、それを見た相手の牡馬(オス馬)は興奮。全力で戦います!

勝敗を決めるのは、その場から逃げたか、逃げていないか。つまり、戦いの場から逃げ去った馬が敗者、追い出した馬が勝者です。

参加する牝馬(メス馬)の中には、ホルモン注射によって繁殖期へと誘導される馬もいるそうです。その理由は馬の生態にあります。

本来、馬の繁殖期は陽が長くなる4月~9月ごろ(北半球の場合)。一方、中国の旧正月は1月下旬から2月上旬と馬が発情しない時期に当たってしまうため、ホルモン注射を行う場合があるのです。

文化伝統継承と動物福祉の両立

この闘馬は、2頭の牡馬(オス馬)がボクサーのように向かい合い、回し蹴りをしたり、噛みついたり、かなり激しい戦いとなります。

流血は避けられないため、近年では香港に拠点を持つ”アニマルズ・アジア(Animals Asia)”という動物愛護団体から厳しい非難を浴びています。

”恐ろしい光景”と表現し「娯楽の名の下に動物に虐待と苦痛を与えている」と批判するアニマルズ・アジア。

一方で、毎年賞金は上がっており、現在は10,000元(約1483ドル)です。さらに、現地では「馬が勝てば、そのオーナーは”馬の王”とされ、女性にモテる」という認識もあり、参加者から「闘馬は残酷ではない」という主張もあります。

現在のところ、批判はあれど、伝統はそのままの形で引き継がれています。

闘馬の観客は数百人。馬と観客の間に柵はなく、馬のすぐ傍に立って応援します。負けた馬が暴れると観客は必死で逃げますが、戦いの最中は大声で声援を送ります。不思議なことに、怪我人はほぼいないとのことです。

映像はこちら
馬の血や怪我が含まれますので、閲覧にご注意ください

日本でも、動物の尊厳や福祉の面から、さまざまな伝統行事が廃止されたり、形を変えたりと、動物に関わるものは激動の時代を迎えています。

伝統をそのまま次世代につなぐか、時代によって変わる価値観に合わせるか。

動物と人との共生の”これからの姿”を考える時期を迎えたと言えるでしょう。