今回は、ヨロッパ在住歴3年目となった世界のタテガミ代表が感じる「動物観の違い」についてのコラムです。
ヨーロッパに住んで3年になりました
2017年にヨーロッパに移り住み、今年で3年目になりました。
フランス、ハンガリー、ポーランドという国々での生活の中で、「ヨーロッパの人たちは、動物をどういう風に捉えているんだろう?」という動物感を肌で感じたお話です。
個人的な見解では、この違いこそ、ペット文化やアニマルセラピー普及の根本にあるのでは?と感じています。
よく動物業界の話題になると「欧米は進んでいる」という話になりますが、それは表面上のこと。
その根本には、今まで人と動物がどのように暮らしてきたか?という歴史や文化が大きく関係しています。
中でも顕著に現れるのが、ペット・コンパニオンアニマルです。
皆さん「ペット」という言葉はよく聞くと思いますが、「コンパニオンアニマル」は聞いたことがありますか?
ペットとコンパニオンアニマルはとても似た言葉ですが、その定義の違いが、日本人にとっての動物感と欧米の動物感の違いにとてもよく似ているなと感じています。
ペットは”愛玩動物”であり、可愛がる対象
まず、ペットについて。
日本に住んでいる方にとっては一番なじみのある言葉ですよね。
ということで「ペット」を辞書で調べてみました。
ペットとは、愛玩動物のこと。大切に可愛がるために飼育されている動物を言う
皆さんどう感じますか?
私の感想は「人間側が受けるメリットを強調されている」と感じました
動物は可愛がる対象であるために、やはり可愛さや愛おしさが重視される傾向にあるのかもしれません。
コンパニオンアニマルは、具体的な条件付き
一方、コンパニオンアニマルも調べてみましょう。
コンパニオンアニマルとは、人と長い歴史を共に暮らしてきた身近な動物を、伴侶や家族友達と同様に位置づけてコンパニオンアニマルと呼ぶ。
コンパニオンアニマルの条件は、人とともに暮らし、その動物の獣医学・習性・行動・人と動物の共通感染症が解明されていること。
だいぶ具体的になりましたよね。
可愛がる対象から1ランク上がって、家族や友達のような感覚で一緒に暮らす仲間のような雰囲気が見て取れます。ペットにはない互いの関係性が見えてくるような言葉ですよね。
更に言えば、単なる可愛がる対象であるペットの場合はエキゾチックアニマルや新しくて珍しい生き物も含まれますが、コンパニオンアニマルの場合は”人と長い歴史を共にしてきた動物”であると共に条件もあるため、エキゾチックアニマル等は含まれないことが分かります。
ペット=日本で、コンパニオンアニマル=ヨーロッパ
この二つの言葉の定義を踏まえ、私は妙に納得しました。
というのも、日本では飼われている動物は「ペット=可愛がる対象」として認識されている一方で、こちらのヨーロッパでは「コンパニオンアニマル=共に暮らす伴侶」として動物が社会の中に溶け込んでいるな〜と感じるからです。
具体的には、ヨーロッパで犬は飼い主さんと色んな所に行ける環境になっています。
例えば、バスや電車などの公共交通機関に犬と一緒に乗れたり、カフェやレストランに一緒に入店できたり、更にはお店の前に「自由にどうぞ!」って感じで犬用の飲み水が置いてあったりします。
当初は「あ〜なんて犬フレンドリーな国なんだ…!!!」とカルチャーショックを受けていましたが、よくよく観察してみると、
ヨーロッパで見かける犬達は本当に本当にいい子が多いのです。
飼い主さんとお散歩してもリードをぐんぐん引っ張るような犬はほとんど見ませんし、電車やレストランにいる犬達も本当に大人しくて「あれ、そこに居たんだ!気付かなかった!」と驚く程おとなしいです。
更に、お散歩中の犬同士がすれ違っても匂いを嗅いで挨拶する程度。飼い主さんが困るくらいリードを引っ張ったり、お互いに吠えたりしません。
こうした状況を何十回も見てきて思うのは、飼い主さんの意識がレベル違いに高いということ。
そこが、まさにペットとコンパニオンアニマルの定義でうまく説明できるのです。
「ペット」として可愛がる対象であれば、ただ可愛い動物がそこに居てくれるだけで価値がありますよね。一方、「コンパニオンアニマル」として一緒に暮らして社会の中に一緒に出て行きたい!という感覚があるからこそ、自分の犬が社会に迷惑をかけないよう、しつけ・訓練をするという意識があるのです。
そしてこれが、「ペット」という認識である日本と、「コンパニオンアニマル」という認識であるヨーロッパ(欧米)の動物感の違いなのではないかと感じるのです。
この意識の違いこそが、動物の社会進出に影響しているのではないでしょうか。
そして最近は日本でもトレーニングの重要性を意識する人も増えてきて、ドッグトレーナーさんが活躍していたり、しつけ教室が開かれたりしています。ぜひ日本もこのような流れが強まって犬のしつけレベルが高まり、コンパニオンアニマルとして社会に一緒に出ていく世の中になれば良いなと感じます。