勤務先①アメリカ宇宙空軍基地
アメリカ合衆国、西部カリフォルニア州バンデンバーグ。ここには”アメリカ合衆国宇宙軍(United States Space Force)”の基地があります。
1996年にパナマのハワード空軍基地が縮小されたことに伴い、新しい仲間を加えることになりました。
なんとその仲間こそ、馬!
基地は約400㎢、東京ドーム約8600個分の広さ。とてつもない広さですが、車が走りにくい砂の土地のため、最も適した乗り物は馬なのです。
パレードに参加したり、イベントに参加したりと馬たちが一生懸命働いているおかげで、すっかり基地で愛される存在となっているそう。
2020年には多くの宇宙軍勤務の馬が高齢により引退。そのため新しく仲間が増えたのですが…その馬は”マスタング出身”!
白い馬は「ゴースト」と名付けられ、週3日パーソナルトレーナーと一緒に宇宙軍職員として訓練中とのこと。
勤務先②消防署
消防車が登場する前、どのようにして火を消していたのかご存じですか?
日本では「火消」と言われる組織が有名ですが、海外では…馬が活躍する仕事でした!
こちらの職業は現在も馬の仕事ではありませんが…1850年から20世紀前半までカナダで活躍した、消防士として働く馬たちをご紹介します。
街中を駆け抜ける、火を消すための装置がついたものにエンジンはついていません。”蒸気動力ポンプ”と言われる機械は、人が引っ張るには重すぎるものです。
そのため、重量のある蒸気動力ポンプを引っ張ったのは…馬たち!
”消防馬車”を引く馬たちは、大きな消防センターで飼われていました。
警報が鳴ると訓練された馬たちが馬房から素早く移動、馬装をつけられて現場に出陣。火災現場に着くと、馬たちは馬装を解かれます。
消防士たちが火を消している間は傍で佇み、消火するまで待っていました。
どんな馬でもできるわけではない、この仕事。動きは素早く機敏、性格は従順で勇敢、火を恐れない冷静さが求められるため、選ばれた馬たちだけが働ける職業でした。
カナダのオンタリオ州にあるTHE CANADIAN FIRE FIGHTERS MUSEUMでは、この消防馬たちの資料を見ることができます。
勤務先③移動図書館
移動図書館と聞くと、何をイメージしますか?大きなトレーラーに、本が詰め込まれているものでしょうか?
インドネシアのジャワ島中部、スラン村。ここには移動図書館がやってきますが…引っ張るのは、なんと馬!
この”馬の図書館”と名付けられた移動図書館。この活動は、インドネシア人のとある男性が始めたものです。彼は自分の馬”ルナ”に本を乗せ、識字率の高くない場所へと本を運びます。
勉強熱心だけれど本がない、そんな小学生たちのために男性と馬は週に3日、寄付された本を届けます。
背やお尻を机にされても微動だにしない、そんな移動図書館の要、ルナ。本を待つ子どもたちが笑顔でルナを撫でたりと、本以外の楽しみを運んでいるようにも見えます。
実は、”馬の図書館”はアメリカ大陸にあるアパラチア山脈でも活躍しました。
その名も”Pack Horse Library Project(荷馬図書館プロジェクト)”。1935年から1943年、アパラチア山脈の遠隔地に本を届ける公共事業促進局のプログラムのひとつでした。
車が通りにくい場所も通れる”馬の図書館”。日本でも登場する日が来るといいですね!